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美し国(うましくに)

よく三重県や伊勢志摩地方をPRするためのキャッチフレーズとして、「美し国(うましくに)」という表現が用いられます。「うまし(美し・甘し・旨し)」とは、「うまい」ことであり、「美し」は「満足された状態、十分で申し分ない」の意があります。つまり「美し国」とは、

海川山野の自然に恵まれ、心身共に満たされる場所であるといえるでしょう。

さて、その初出は『日本書紀』巻六 垂仁天皇二十五年三月の条にみえます。皇大神宮(内宮)のご鎮座に関するもので、天照大御神をおまつりする最良の場所を定めるべくご巡幸される経緯の中、天照大御神が倭姫命に仰せになられた一節で、「可怜国(うまし国)」という単語が出てきます。

是神風伊勢国、則常世之浪重浪帰国也、傍国可怜国也、欲居是国。

【意訳】この神風の伊勢国は、常世の国からの波が繰り返し打ち寄せる国である。大和の傍にある国で、美しい良い国である。この国にいたいと思う。

この資料中の「可怜国」は旧伊勢国が該当しますが、現在では派生し三重県全域を美化する表現として用いられているのです。

古よりいかに美麗で、尚且つ恵まれた地であったかが伺えるエピソードです。

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